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ゴールデンスタッフへ直撃取材ッ! Vol.5
プロップ設定:浅沼信也 コメント




――原作を読んだときの印象を教えてください。

非常にストーリー展開が巧みな作品だな……と思いました。 次にどのような展開が待ち受けているのか、早く続きを読みたくなる。 アイヌの文化など予備知識がほとんどない場合でも、読んでいるうちに自然と頭に入ってきて。 そしてキャラクターたちが生きていて、物語の中で躍動している。 自然との対峙、野生の動物との格闘……。なるほどぉ……と。 加えて、緊迫感ある描写で、一気に引き込まれてしまいました。
あと、「グルメ漫画でもあったんですネ!」と。 鍋物は本当に旨そうで、一度食べてみたいです!

――本作のプロップ設定において、とくに重視したのはどんなことですか?

まず……実際に存在した物であった……というのが重要だと思いました。 普段はわりとSFやファンタジーなど、想像の部分での要求が大きい作品に関わることが多くて、今回のように実物があった、しかも過去といっても比較的近い時代だと、資料がきちんと残っている物も多いので、そこはウソがつけない。 可能な限り資料をあたって臨まないと、と思いました。


――本作に限らずプロップの「設定」を作成する上で、常に意識していることはありますか?

アニメーションは集団作業なので、「誰でも描ける」ということが重要になってきます。 加えて、アニメーターさんが芝居(の作画)に集中できるデザインになるように、と心掛けています。 基本はシルエットが視認しやすく。余計な線が増えないように、と。 どうしても線が増えてしまうアイテムは事前に監督と相談しつつ対応しています。 引き、中間、寄り、と3バージョン用意することもあります。 最近ではCGを使う機会もありますが、プロップはキャラクターの芝居と密接に絡んでくるため描きやすく、かつ魅力的であれば……ということを目指しています!

――とくに苦労したのはどんなところですか?

やはり資料ですね!
基本は制作サイドから用意された資料、原作をベースとして出発しています。 ですが、どうしても足りないアイテムが時折出てきて……。 また、あったとしても写真が不鮮明だったり、というモノもありまして。 そこはもう、原作の野田先生や監修の先生達から可能な限り資料をいただいてなんとか……。 今回はアイヌの文化に関わる部分に監修の先生が入っておられ、原作サイドのチェックもありまして。そこをクリアしないと、という……。中々ヒヤヒヤする面ですね。




――作業中、難波監督をはじめとするスタッフ間でのやりとりで印象深かったことを教えてください。

『ゴールデンカムイ』はエンターテインメント作品ではありますが、同時にアイヌの文化も重要な要素のひとつとして存在する作品。 みんなそこの部分は、チャレンジしがいがあると思いつつも、生半可な態度では臨めないな……と感じていたのでは、と思います。 監督が最初に、「アイヌの文化に関しては自分たちの知識はほとんどゼロのようなもの。可能な限り調べて対応していこう」と、おっしゃられて。 これは覚悟して掛からないとダメだな、と思ったのを覚えています。

――本作に参加されての感想と、完成したアニメに対する期待をこめたメッセージをお願いします。

とにかくカロリーの高い作品です。 かなり神経を使いますが、最終的に監修OKまでいったときの喜びは格別です。 そしてスタッフのみんなも、『ゴールデンカムイ』を良い作品にしようと日々格闘しています。 その熱量は画面に表れています! ぜひ最後までお付き合い願えれば、と思います。

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