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このキャラクター、要注目につきッ!!
キャストインタビュー Vol.1
[杉元佐一役]小林親弘 ✕ [アシ(リ)パ役]白石晴香

――原作を読んだときの印象を教えてください。

小林 原作を読んだ方はみんなそうだと思うのですが、めちゃくちゃ面白くて、しかもいろんな楽しみ方ができる作品だと思いました。冒険あり、グルメあり、さらにギャグからグロい表現までなんでもありですよね。それに、キャラクターの描かれ方が一面的じゃないのも魅力的に感じました。怖いやつだと思ったらお茶目なところがあったり、敵だと思っていたら意外とにくめないやつだったり。

白石 私はあまり読んだことのないジャンルの作品だったので、最初は過激なシーンに衝撃を受けました。でも、読み進めていくとそれだけではなく、合間に入ってくるコメディも面白くて。最初は怖かったのに、いつの間にか声を出して笑ってました。色々な要素のごった煮と言われている作品ですが、シリアスとコメディがうまく合体していて、そこが大きな魅力だと思います。

小林 本当に面白いよね。

白石 はい。刺激が強めな部分はたくさんあって、例えばリスの頭を剥いて食べちゃう衝撃的なシーンにしても、アイヌの文化ではそれが日常なので、女性でもわりと受け入れられるのではないかなと思います。だから自然と作品に引き込まれましたし、キャラクターの魅力もどんどん感じられるようになりました。また、キャラクターの描かれ方に女性心をくすぐるところがけっこうあるんです。見た目はすごく厳ついのに、なんでこんなにかわいく感じるんだろうって。普段は男らしい杉元が、ときどき乙女チックになったり(笑)。

小林 座り方も急に女の子座りになるからね。

白石 そうですね(笑)。「ヤダぁ~」って語尾が伸びるしゃべり方になるのも、ツボです。普通に考えたらちょっと引いちゃうような強烈な個性のキャラクターもいますが、それすらもキモかわいく見えちゃうのが不思議なところですね。キャラクターが本当にいろんな表情をするので、細かな変化も見逃さないように観ていただきたいです。


――それぞれ演じられるキャラクターの印象と、キャスティングされたときの心境はいかがでしたか?
小林 杉元の印象は、まっすぐな性格で勇気があって、しかも優しい男ですね。一方で、戦争で傷を負った、帰る場所がない孤独な身で、死んだ親友との約束を果たすためだけに生きているようなところもあって。それがアシ(リ)パさんと出会ったことで、この人を守りたいと思う感情が生まれてくる。表面的な部分と内に抱えたものをひっくるめて、杉元が持っている人間臭さにすごく惹かれました。そんなキャラクターを演じられると決まったときは、本当に嬉しかったです。オーディションの前に漫画を読んだときから、この作品に参加したい! と強く思っていましたので。ただ、結果が出るまで時間が少し空いたので心の中ではちょっとあきらめかけていて、そんなときに杉元役に決まったことを知らされたんです。そのぶん余計に喜びも大きくて、マネージャーからの電話で「決まったよ」と伝えたられたときは、家の中なのに、うああああああああ!! と思いっきり叫んでしまいました(笑)。

白石 まるで杉元みたいですね(笑)。

小林 その後、マネージャーと飲みに行って、20回くらい乾杯しました。

白石 20回もですか!?

小林 5分置きぐらいに何度も(笑)。それくらい嬉しかったんです。

白石 アシ(リ)パちゃんは、しっかり者で凛々しい印象がありますが、まだあどけない少女なんですよね。それなのに杉元と出会ってからも子供だからといって頼るわけではなく、お父さんから受け継いだことをしっかりと守りながら、自分ができることを彼女らしくやっているところがカッコいいと思いました。それと、どころどころで見せる変顔もすごく面白くて(笑)。杉元に心を許しているからこその表情だと思うので、私自身、身も心もアシ(リ)パちゃんになりきって演じられたらと思っています。

――白石さんも役が決まったときは、小林さん同様、喜びを爆発させたりしたんですか?

白石 実はちょっとしたハプニングがありまして。当日担当マネージャーさんから事務所に呼ばれていて、そこでサプライズで結果を伝えるつもりだったらしいんです。でも、事務所で顔を合わせたチーフマネージャーさんから、「『ゴールデンカムイ』、おめでとう」と先に仰って(笑)。私がキョトンとした反応だったので、状況を察したチーフマネージャーさんが「あ、違うかな」とすぐにその発言を取り消して、私も何を祝ってもらったのかはっきりわからず、その後、担当マネージャーさんからちゃんと伺って、本当だった、やったー! という感じでした(笑)。

――アフレコ現場の雰囲気はいかがですか?

小林 大ベテランの方がたくさん参加されている現場なので、非常に重厚感があります。

白石 豪華すぎますよね。でも、休憩時間はアットホームな雰囲気で、皆さん作品のことが好きな方ばかりなので、あそこのシーンが面白いよね、なんて話で盛り上がっています。

小林 二瓶役の(大塚)明夫さんなんて、本番前のテストでレタ(ラ)の声までやったりしますからね。「肉食べろ」みたいな(笑)。

白石 ノリノリですよね。ご自身のセリフがないときに、後ろで台本にない原作のセリフとかSEまで言うんですよ(笑)。

小林 あと、白石さんがアシ(リ)パさんで、(伊藤)健太郎さんが白石(由竹)の役を演じているんですけど、音響監督の(明田川)仁さんが最初に「白石くん」と言ったせいで、どっちの? となったこともありました(笑)。

白石 あれはたぶん狙っていましたね(笑)。そのあとからは、普通にわかりやすく「白石ちゃん」になりました。

――収録の初日はどのような心境でしたか?

小林 1話は登場人物がまだ少ないので、後半のシーンは僕たち二人しかいなかったんです。それで不安そうにしていたら、寅次役の内匠(靖明)さんが気を遣って、僕いたほうがいい? と聞いてきてくれて。ぜひ! とお願いして、収録語は3人でご飯を食べに行きました(笑)。今は錚々たる方たちに囲まれている緊張感がありますが、それとはまた違った意味で緊張しましたね。

白石 収録が始まる前は、作品の人気もありますし、個々のキャラクターに対するファンの方の思いも強いと思うので、それにお応えしたいという気持ちと不安が混じり合う感情の状態だったんです。でも、現場に入ったあとは、(難波)監督はじめスタッフのみなさんが選んでくださったんだから、自信を持って頑張るぞ! と気持ちを奮い立たせて臨みました。

――難波(日登志)監督や音響監督の明田川(仁)さんからは、演技について何かオーダーはありましたか?

小林 最初は杉元の真面目で優しい印象をもとにして、ややフレンドリーな演じ方をしていたんです。でも仁さんから、戦争返りの孤独な身だから、もっと感情的に距離のある話し方をしてほしい、とのオーダーをいただきまして。なので、アシ(リ)パさんと初めて会ったときや風呂場で初対面のおじさんと話すシーンなどでは、すぐに打ち解けるのではなく、朴訥とした雰囲気を出すようにしています。
――その後、ストーリーの展開に合わせて、親密感を出していったわけですね?

小林 そうですね。杉元とアシ(リ)パさんは、猟で捕まえた動物を一緒に食べたり、白石も含めた3人で行動する中で次第に距離感が縮まっていきますからね。演技の面でも、どんどん仲のいい雰囲気が前面に出てくるようになります。

白石 私が印象に残っているのは、レタ(ラ)とスキンシップをするシーンで、仁さんから「もうちょっとムツ感がほしい」と言われたことですね。動物番組で有名なムツゴロウさんのような雰囲気が欲しいということだったんですが、最初は、ムツ感って!? と思いました(笑)。

小林 すごいムツ感出てましたよ。

白石 テンションを上げました(笑)。全体的には、想像していたよりもクールめな話し方を求められるディレクションが多いです。テンションといえば、アイヌに「キサラリ」という子供を驚かせるために使う道具があるんですけど、村の中だとアシ(リ)パちゃんがそれを扱うのが一番うまいんです。ただ、どのくらい怖い声で驚かせたらいいのかがわからなくて、悩みました。

小林 家で練習したり?

白石 家にいるときに演技のイメージがわくと、その場で実際に声に出してみるときがあるんです。それでいきなり「ゔぇぇろろろろごうろろろあ゛あ゛ッッ!!」とやってしまったので、お母さんがびっくりしちゃって(笑)。「吐くのかと思った」と心配されました。

小林 急にそんな声を出したら、何かに取り憑かれたんじゃないかと思いますよ(笑)。

――演技の面で、難しさを感じたところはありますか?
白石 説明ゼリフが多いことでしょうか。毎回のように、アシ(リ)パちゃんがアイヌの風習について語る長ゼリフがあるんです。

小林 一度しゃべりだしたら、なかなか終わらないもんね。

白石 そうなんですよ。台本のまるまる1ページが、そういうセリフで埋まっていたりするので。淡々と説明しているときと、普段の日常会話をスムーズにつなげるが意外と難しくて、いまだに試行錯誤しています。逆に、日常会話だけのシーンは、思いっきり演じていますね。小林 杉元、アシ(リ)パ、白石でひとつのチームのような形になるんですけど、アシ(リ)パさんがピラミッドの一番上にいる感じです(笑)。

白石 収録でもその関係性がだいぶ出てきているようで、監督からも「チーム感が出てきたね」と言っていただきました。

小林 僕の場合、先ほど話したキャラクターが一面的ではないという部分にも関わるのですが、杉元も例外ではないので、最初はその切り替えに苦労しました。例えば、普通のときと乙女チックになるときでは、かなりの落差がありますので。それにストーリー展開の面でも、「オソマ美味しい!」と言ったあとに、(中田)譲治さん演じる土方が「新選組が……」とシリアスに語るシーンが来たりしますからね(笑)。うまく気持ちのスイッチを切り替えないと、芝居の流れに入っていけないんです。

――アイヌ語のセリフについては、どのようなやりとりがされているんですか?

白石 事前に監修の中川(裕)先生からセリフに出てくるアイヌ語を収録してくださったテープをいただいて、それを聞いて耳に馴染ませた上で収録に臨んでいます。あとは、収録にも先生が立ち会ってくださっているので、アドバイスをいただいています。


――収録中の監修で、印象深かったことを教えてください。

小林 「ここはテープの発音を意識しすぎずに、勢いでしゃべっちゃってください」なんてときもありますよね。

白石 そうなんです。テープに収録されているのは発音を覚えるためにアクセントを強調したものなので、会話の中で使うとまたニュアンスが変わってくることがあって。それに、言葉の意味合いも想像とはちょっと違っていたりもするんです。例えば作中によく出てくる「ヒンナ(感謝を表すアイヌ語)」という言葉があるのですが、最初は神様への感謝ということを意識して、ちょっとかしこまった言い方をしていたんです。でも、もっと気さくな感じで大丈夫ですよ、と教えていただいたので、少しくだけた言い方に方向転換をしています。

――アイヌ語のセリフで、とくに難しいと感じるのはどんなところですか?
白石 アイヌ語だけの単語や言葉よりも、日本語の中にアイヌ語の単語が入っているときのほうが難しいなと感じています。アイヌ語は発音の仕方が独特なので、その直後に日本語に戻るのがすごく難しくて。逆にアイヌ語だけだとちゃんと次に繋がるように言葉ができているので、意外と話しやすいんですよ。

小林 日本語が混ざると、そこがうまく繋がらないと。

白石 はい。発音しない文字があるので、音の間を意識して開けすぎたり、逆に口をちゃんと閉じきれなかったりすると、不自然な感じになってしまって。とくに長ゼリフの中にアイヌ語の単語が入っていると、「あ゛ー!」って頭を抱えたくなります(笑)。
小林 現場で本当にそうなってるよね。難しそうなセリフのときに横を見ると、白石さんが首を振りながらうなっているという(笑)。

――杉元もアイヌ語を話しますけど、小林さんはそういう苦労はとくになく?

小林 はい。僕のほうは、最初から下手でいいとお墨付きをいただいているんです。杉元はアシ(リ)パさんの言葉を真似してそれっぽく言っているだけなので、あえて細かなイントネーションなどは気にしないほうがいい、ということのようでして。なので、中川先生も杉元のセリフに関してはかなり寛容です(笑)。

――いよいよアニメが放送開始となりました。最後に、ファンへのメッセージをお願いします。

小林 映像もすごいですし、キャスト陣にも重厚感のある方々がそろっているので、どこそこを見てくださいなどと言わずとも、自然と画面に釘付けになってしまう内容だと思います。ファンの方は前々から非常に楽しみにされていると思いますが、僕もいちファンとして皆さんと一緒に最後まで楽しみたいです。漫画の世界がそのままアニメになって動くのを、ぜひご堪能ください。

白石 私自身、好きな漫画がアニメ化されたときは、こういう表情や演技だったらいいなと想像することがあるので、自分がそれに応える立場であることに大きな責任を感じています。皆さんのイメージするアシ(リ)パちゃんを少しでも表現できていたら嬉しいですし、さらにそれを超えていけるように頑張っていきたいです。原作ファンの方には漫画のキャラクターが動く夢が叶う作品であり、アニメで初めて知った方は「こんな面白い作品があったんだ!」と嬉しい発見になる作品だと思います。ぜひ原作もアニメも楽しんでください。

小林 僕も同じ気持ちです!

白石 ずるい(笑)! でも、キャスト一同、気持ちは同じなので、心をひとつにして頑張ります。

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